雑誌や本で見かける『資産運用の基本』は通用しない? そもそも、資産形成期とリタイヤ後では、運用の仕方は違って当然。

資産運用の基本と言えば、『長期・分散・積立』ですが。

資産運用の基本ってなんだろう。

資産運用の基本として、よく言われていることと言えば、『長期・分散・積立』の3つの言葉です。

できるだけ長い時間をかけて運用し、複数の投資先に分散し、一度に投資するのではなく、積立で投資をする。

確かに、その意味はわかる。

でも、この『長期・分散・積立』という運用の基本は、『資産形成期』の基本であって、『リタイヤ期』でも同じ方法で言いというものではない気がしています。


リタイヤが近づいてきてから、老後のお金が気になり資産運用を始めたいと思いった。そんな時、資産運用の基本だという『長期・分散・積立』の言葉を真に受けて、『インデックスファンドを積立投資で購入する手続きをする』という話を聞くことがある。


「これは本当に正しい方法なのだろうか?」と思うことがある。


リタイヤ期の資産運用は、どうする?

リタイヤ期は、資産運用で貯えた資産を使う期間。つまりは、「使うことが前提」の運用をしなければいけないはずです。

そして、『長期・分散・積立』という運用方法では、『使う』という事は考えられていない。


資産運用しながら『使う事』を考えた場合には、『インカムゲイン』を中心に考えるのが本来の考え方なのではないだろうか?

インデックスファンドで積立てして、運用しながら取り崩すという話もあるかもしれない。けれど、取り崩すと簡単に言っても、投資信託のように残高が増えたり減ったりしているものを取り崩すのには、「一体いくら取り崩したらいいのか?」という疑問が残る。


仮に金融市場に事件が起こって、大きく資産が目減りすることになり、せっかく増えた元値から3割、4割下落することになったら。

それでも、100%資産があった最初の時に決めた金額と同じ金額を取り崩せるのだろうか?

頭で考えている分には論理的に計算もできるのかもしれないが、おそらくこれはそんな単純な話ではない。


投資や金融市場というのは、人の心が大きく影響している。もし、市場に感情はなく、論理的に計算できるというのであれば、リーマンショックやITバブルのような、バブルとその崩壊が起こることの方が説明付かない。

資産の価値が下落していく時の精神的なストレスは、決して馬鹿にできるものではない。

資産が目減りしていく中で、平気で当初の予定通りに取り崩せるという人は、類まれな強い心の持ち主か、何らかの理由でよほどお金が必要になっている人のどちらかだと思う。

はっきり言えば、十中八九は無理だと思う。

さらに言えば、底の見えない資産の目減りを恐れて、取り崩しではなく全部売却してしまう人の方が多いことでしょう。


リタイヤ期に必要な資産運用というのは、資産価格の下落(変動)に関係のない、『インカムゲイン』を作ることを目的にした資産構成及び運用になると考えています。

『配当金』や『分配金』、『金利収入』、『家賃』といった、現金が入ってくる収入を生み出す資産を中心にポートフォリオを作ることが重要になってくると思う。

尚且つ、その現金収入が、安定していつまでも入ってくるように工夫することがポイントで、殖やすことではない。


そしてこれは、老後に限った話ではなく、『FIRE』などの早期リタイヤであっても一緒だと思う。


資産形成期は、キャピタルゲイン。リタイヤ期はインカムゲイン。

資産を増やしたい資産形成期は、インカムゲインに集中するよりも、値上がり益のキャピタルゲインの方が効率がいいと考えています。

分配金などがほとんど出ない『インデックスファンド』のようなものは、その代表例だといえるでしょう。

さらに、もっと突き詰めるのであれば、借入金などをつかったレバレッジ運用などもありかもしれないと考えている。

不動産投資などで借入を行ったり、信用取引や先物などを使って、インデックスにレバレッジをかけることも一つだと思う。


そして、リタイヤ期が近づいてきたら、資産を増やすキャピタルゲイン狙いの運用から、配当金や金利収入などのインカムゲイン狙いの運用にシフトしていく。

分配金などがあまり出ないインデックスファンドから、現物の不動産やREIT(不動産投資信託)、金利の環境が良ければ(リスクも加味しつつ)債券などの利息収入のある投資へ。

そういった安定したインカムが望める資産を中心に、インデックスファンドなどを使って貯え、増やしてきた資産を徐々に入れ替えていく。


はっきり言ってしまえば、資産は増やしただけでは意味ない。

それだけでは、無駄に貯金を続けるのと何も変わらない。

使わないお金は、なんの役にも立たない。

「死んだら、お金はあの世へ持っていけない」。

せっかく貯めたお金、運用して増やしたお金は、現金収入を生み出す資産に変えて使っていかなければいけません。


継続して、安定した収入があれば、将来への不安は減らせる。

継続して、安定した収入があることで、いろんなことに挑戦する自信にもつながる。

継続して、安定した収入があると、ちょっとした冒険をする気持ちも湧いてくる

ポイントとなるのは、お金があるかどうかではなく、収入があるかどうか。

今まで、働いてお金を稼いできた人ならば、当然わかっているはずです。

もし勤め先がなくなったら?、急に退職することになったら?

お金があるかないかよりも、収入があるかないかの方が気になるとは思いませんか?


お金があれば、確かに安心はある。でも長い目で見た安心は、継続して収入があることの方が、お金があることよりもずっと大切。

使い切ったら終わりの1億円のお金があることよりも、自分の一生、そして子の代、孫の代へと、延々と続く毎年300万円の継続した収入があること、どっちの方がいいと思うだろうか?


資産形成期とリタイヤ期(早期リタイヤも含めて)、この2つでは資産運用の目的は大きく違ってくるはずです。資産形成期の運用の基本『長期・分散・積立』が、リタイヤ期でも通用すると考えるのはどうなのだろうか?

資産運用の基本もいいですが。そもそもリタイヤ期には、リタイヤ期に合わせた運用を考えることが大切なのではないかと思うのです。

よく、リタイヤが近づいてきたのでとお金の相談に行き、そこで投資信託と積立投資の話をされることもあるようですが。

個人的には、リタイヤが近づいてきてから、投資信託の積立を始めようというのは、あまりいいやり方ではないと思っています。

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