各種資産に分散投資する。
私たちが比較的手軽に投資ができる資産には、『株式』、『債券』、『REIT(不動産)』、『金(ゴールド)』があります。
それらの各種資産に分散して管理する資産運用の方法をポートフォリオ運用といいます。
資産運用をするなら、このポートフォリオ運用のことをしっかり理解して、この戦略を地道に行っていくことがもっとも効果的なのではないかと思う。
よく私たちの公的年金を運用しているGPIFという組織が行っている資産運用法が、ポートフォリオ運用の代表例として使われています。
GPIFの運用法は、基本的に『国内債券25%、外国債券25%、国内株式25%、外国株式25%(2020.4から)』という資産構成割合で運用するというスタイルをとっています。
このように、各種資産の配分割合を決めて、その配分を守るように管理し運用することで資産が目減りするリスクを抑えながら運用することをポートフォリオ運用といいます。
しかし、このポートフォリオ運用には、否定的な意見があることも事実です。
その中でも特に致命的な意見が、「たいして儲からない」というものです。たしかにポートフォリオ運用は、たいして儲かる運用法ではありません。運用資金が少なければなおさらです。
そして、長期的にみれば、「ポートフォリオ運用よりも、株式資産一択で投資をしたほうのが最終的な利回りは上になる」といわれたら、正直何も言えません。
たしかに、長期的な運用成績を見る限りいろんな資産に配分するぐらいなら、一番利回りが高くなると思われる資産に一択で投資をしたほうのがリターンが高くなるのは当たり前です。
ただしこれは、『理屈の上では』という話だということを忘れてはいけない。
そもそも私たち人間は、長期的な視点を持つということがとても苦手です。
数字で長期的な数字を見せられても、いざその時になってみたら、近視眼的な考えや行動をとることが多いものです。
確かに、長期的にみれば複数の資産に分散して投資をするより、一番利回りが高くなると思われる株式一択のほうが正しいのかもしれません。でも株式という資産は、期待リターンが大きい分、短期で大きく目減りするリスクも大きい資産です。
そんな資産に一択で投資をしていたら、たとえ長期的には正解だと頭ではわかっていたとしても、大きく目減りした時には売却したい気持ちが芽生えるものです。また、株式が調子が悪い時に、ほかの資産が大きく値上がりしていたら、その大きく値上がりしている資産がどうしても気になるものです。
ましてや、その大きく値上がりしている資産を、友人知人などが買っていてすごく儲かったなんて話を聞いてしまったら、おそらく私たちは損した気持ちでいっぱいになり、それこそ相場の思うつぼになるものです。
長期投資で大切なことは、儲かることよりも、続けること。
どんなに高いリターンが期待できても、続けられなくなってしまったら、全く意味がない。
続けられなくなるというのは、資金的な問題はもちろんですが、それ以上に気持ちで負けて続けられなくなることのほうが恐ろしい。
リスクのある資産で運用するときに、不安や嫉妬といった気持で負けないためには、リスクをコントロールしているという感覚が大切になる。
ポートフォリオ運用とは、そのリスクをコントロールするということを一番の目的としているものなのです。
投資初心者は、ポートフォリオ運用から始めよう。
正直に言えば、独自の感覚としてリスクをコントロールしているイメージが持てている人には、ポートフォリオ運用は必要ない。
株式投資などのリスク資産のリスクコントロールには、一番期待リターンが高いリスク資産(例:株式資産)と値動きのリスクが0に限りなく近い安全資産(例:現金や短期債券)の2つがあれば、あとは状況に合わせて、その2つの配分割合をコントロールするだけでリスクをコントロールすることはできる。
私は、リーマンショックからの回復期に、そのことを実体験として感じました。
それに、ウォーレン・バフェットも、自分が死んだ後の資産の管理は株式資産(インデックスファンド)と現金(短期債券)で運用するようにと言っていた。
結局、一番期待リターンが高い資産に照準を当て、あとは手法というアプローチからリスクをコントロールすることができれば、ポートフォリオ運用でなくてもリスクは抑えられるし、ポートフォリオ運用よりもリターンが高まることも期待できるというわけです。
今思う資産運用の本来の運用法は、ポートフォリオ運用よりもそちらの方が正しいと思っています。
しかし、株式資産の値動きの大きさをまだ経験したことのない人にとっては、その方法は難しいということもわかってきた。
株式という資産は、過去に短い期間で価格が半分以上に下落したことが何度もあった。でも、そういう事例は、人生の中で数回ぐらいしか経験できない。
普段は、意外とおとなしく、むしろゆっくりと上昇していることのほうが多い。
そういう時期しか経験したことのない人が、一年とかからず資産が半分になるというのは、あまり想像ができないものなのかもしれない。
しかし、資産運用では、そういう時期にどう過ごすかはとても大切なことになる。
資産運用の一番のポイントは、『どうやって運用するのか』にあると考えています。
何を買うか、いつ買うかではなく、投資戦略とそれを実践するための手法、つまりは、ルールや規律に重点を置いた運用を行うことです。
ポートフォリオ運用というのは、多くの金融商品でも使われているぐらい、ロジックがしっかりしていて、なおかつ使いやすい手法とルールで運用できるため、投資初心者でも実行できることが大きなメリットです。
よく、ポートフォリオに何を含めるかということで悩む人がいる。でも、そこは重要じゃない。ポートフォリオという運用スタイルを理解し、どういうルールで運用することで効果的な運用ができるのかを考え、実践することが大切なのです。
要は、ポートフォリオ運用とは、何に投資するかでも、いつ投資するかでもない、ただの『仕組み』なのです。『仕組み』を使って運用することなのです。
そして、資産運用を始めるなら、まずは、この『仕組み』から理解し使っていくことを始めるのがいいのではないかと考えています。
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