根強い人気の外貨建て生命保険。
生命保険商品の中でも、昔から人気のある外貨建ての生命保険。
米国ドルなどで計算された生命保険に加入することで、日本にはない現地米国の高い金利や利回りで運用できるという点が魅力の商品になっています。
当社のファイナンシャルプランニング相談でも、この外貨建て生命保険に関する相談は、結構多くなっています。
結論から言えば、商品としての良し悪しはともかく、個人的には加入する意味のない保険だと思っています。商品設計として中途半端な商品という印象を持っています。
まず、生命保険としての意味を求めるなら、『外貨建て』の必要があるのかというのが疑問です。
遺族の生活費などが保障の目的なのだとしたら、いざというときに保険金額が変動するというのはいかがなものなのか、もし保険金額が減ってしまって必要な保障額を満たさないことになった場合にはどうするのか?
生命保険の保険金額を決めることでさえ複雑になってしまって、はっきり言って使いにくいと思っています。
また、運用商品としてはどうだろうか?
確かに低金利の日本で現預金としておいておくよりも、高利回りで運用できるというのは魅力的です。
でも、生命保険という商品は、金融商品の中でもダントツで手数料などのコストが高い商品として有名です。そしてコストが高いということは、それだけ利回りも悪くなる。
ズバリ言えば、米国建ての生命保険に加入するなら、米国の国債を買ってしまったほうのが運用の効率はいいと思っている。
米国債は、ネット証券などで簡単に購入することが可能です。
満期になれば米ドル建てで元本は保障されるし、利回りも米ドル建て生命保険と同等、もしくはコストがほとんどかからない分、最終的な手取りは上になることもあります。
そして、生命保険会社が破綻する可能性よりも、米国政府が破綻する可能性の方が当然低い。
さらに、外貨建て生命保険の毎月積立には、為替変動リスクのリスク分散効果はほとんどない、という点も効率的な運用に向いていません。
価格変動リスクの分散効果を狙った投資タイミングの戦略として、毎月買付するなどの購入タイミングを分散するドルコスト平均法という戦略があります。
外貨建て生命保険の保険料も毎月購入する形になるから、ドルコスト平均法になっているのでは?と思うかもしれないけれど。
ドルコスト平均法というのは、価格変動に対して、等金額で購入していくことで、価格変動リスクを分散しています。
外貨建て生命保険の保険料のように、価格変動に対して、その価格変動に合わせて支払金額が変わっていくのは、ドルコスト平均法になっていません。
よって、運用商品としての設計も中途半端なイメージを持ちます。
生命保険として保障を目的とするなら、定期保険などの一般的な生命保険。
運用を目的とするなら、外貨建ての債券や投資信託など。
他にもっといい選択肢があると思うと、なぜ外貨建て生命保険に加入する必要があるのかと疑問に感じます。
ただ、生命保険として加入することで解約がしにくくなる点や、毎月貯金することが苦手なので強制的に引き落とされるのがいい。
ということであれば、外貨建て生命保険を考えてみるのもありなのかもしれませんが。
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