「いろんな資産に分散投資したほうがいいという話を聞きますが、どうなのでしょうか?」
といった質問を受けることがあります。
しかし、分散することでリターンが下がることもありますので、ただ分散すればいいというのは、少し違います。
リスクを下げるために、分散投資をする?
リスクを下げることが目的ならば、リスクの低い資産を使えば十分でしょう。
現金預金、個人向け国債、為替ヘッジ付きの外国国債、などなど、リスクの低めな運用先はいろいろあるものです。
分散投資してリスクを下げようとする以外にも方法があることを知ったほうがいいでしょう。
分散投資でリスクを減らすという理屈は、現代ポートフォリオ理論がもとになっています。
現代ポートフォリオ理論では、分散投資をすることにって、リターンをできる限り維持しながら、リスクを減らすことができるとされています。
つまり、分散投資をするとリスクの割にリターンの高い運用ができるというわけなのですが。
実際に運用する中では、その感覚を十分に感じられるほどの効果は見られないと感じています。
そんなことよりも、リスクの低い投資先とリターンを狙う投資先を分けて、運用を行ったほうのが、実践上は分かりやすいものです。
例えば、現預金と株式で運用するような感じです。
株式に投資しない間は現預金でもって置き、株式投資に潜在リターンの割にリスクが低い局面が来たら株式を買うみたいな感じです。
そうやって、リスクに合わせて株式資産と現預金の割合を変動させてリスクを管理するわけです。
実は、現代ポートフォリオ理論は確かに有望な運用法ではあるのですが、実際に行おうとすると投資信託などで運用することになり、それなりのコストを払うことになってしまいます。
そのコスト分がリスクに加算されると考えると、あまり効果的な運用にはならない可能性もあるのです。
インデックスファンドの生みの親ともいわれたジョン・ボーグルは、分散投資を理由に高いコストを支払うことは無意味だといっていました。
分散投資は、2つで十分かもしれない。
分散のしすぎは、かえって管理が難しくなり、実務的ではありません。
個人で資産配分をコントロールしながら現代ポートフォリオ理論の通りに運用するなんてことは、9割以上の人にとって出来ないことと思います。
一つは、計算などをする手間が面倒になる。
他には、資産配分を定期的に修正するリバランスという作業が上手くできない。
「値が上がっている資産を売って、赤字になっている資産を買う」というのは、思っているほど簡単な事ではありません。
上がっている資産は、「もっと上がるかも」、下がっている資産は、「もっと下がったらどうしよう」と思ってしまうものです。
これを複数の資産間で行うのは、ちょっと難しいと思っています。
だから、コストを払ってでも運用会社にやってもらおうと考えるわけですが、今度は手数料を払うとリターンが出ないという問題が。
ということで、実践的には2つか、多くても3つの資産で運用するのが妥当だというわけなのです。
ジョン・ボーグルは、資産配分は、株式と債券で十分だといっていました。
いろいろ考えると、現状ではそれが妥当のように感じます。
0コメント