長期、分散、積立投資という回答は、FPとして堅実な答えではあるけれど・・・。

「資産運用は、長期、分散、積立投資を行うことで成功する。」

という話、FPとしては真っ当な答えだと思いますが、本当にそれでいいのでしょうか?

資産運用には、これで絶対という答えはないということを見落としていませんか?

長期、分散、積立投資というのは、真っ当な答えなんだけど。

資産運用の基本は、「長期、分散、積立投資」。

これは、嘘ではありません。

私もFPとして、”初見の人”に資産運用の仕方を聞かれれば、「長期で、複数に資産に分散し、積立投資を行いましょう」と答える事でしょう。

なぜなら、この3つの原則は、万人に共通する資産運用の基本でもあるからです。


しかし、この「長期、分散、積立」という資産運用方法は、絶対ではありません。

いろいろ相談対応をしたり、資産運用の勉強をしたりする中で、「この人ならば、もっと違った運用法を使ってもいいのでは?」と思えば、おそらくほぼ全員の人に違う運用方法を伝える事でしょう。


長期、分散、積立という方法には、実はデメリットも存在します。


①長期で保有すると、ドローダウン(最大損失額)が大きくなりやすい。

長期投資を行っていると、金融市場が崩壊するような大きな市場の暴落に巻き込まれることが必ずあります。

長期で保有する戦略を採用すると、その暴落の影響をまともに受けることになります。

その点、損切りして逃げることができる人だと、損失を小さく抑えることができるわけです。

市場が崩壊するような暴落は、とても恐ろしいものです。

大きな相場の暴落に対処できるスキルは、あって無駄なものではないと思います。


②分散投資は、リターンを下げることになりかねない。

相場で大きく儲けている人が採用する投資戦略には、『集中投資』が多いものです。

実は、過度な分散投資は、リスクを減らす効果よりもリターンを減らす恐れの方が大きくなるなります。

株式や債券、リート、オルタナティブといった様々な資産に分散投資する、ポートフォリオ運用が現在主流となりつつありますが、実は長期投資をすると、今までのマーケットを振り返るかぎり、株式投資に集中したほうがリターンは高いと言われています。

多少値動きが大きくなったとしても、最初から長期投資を前提として運用するなら、いろんな資産に分散投資する必要はないというのは、もはや常識です。


③積立投資でいいんですか?

積立投資は、小さな金額から始めることができるので、気軽にできて良さそうです。

また、積立開始間近は、積立総額が小さいため、評価損が出ても大した金額にならないので、値動きリスクを気にすることなく安心できるものです。

しかし、積立期間が相当年数経過し、積立総額が大きくなってくると、そうはいきません。

同じ数字の損失率(%)でも、投資額が大きくなると、無視できない損失になることもあります。

投資総額が多くなれば、その変動リスクは積立投資も一括投資も、そう変わらないものです。


それに、ここぞという場面で、ドカンと一気に投資をするか、はたまた、大きく下げた局面から積立投資をスタートするかを比較して考えてみてください。

その結果は、火を見るよりも明らかですよね。

大きく下がった局面で、大きく投資すると、その後相場が回復し始めた場合、大きく儲かることがあります。

投資で大きく資産を築いた人と言うのは、大抵そういう局面で一気に動いた人です。

たいして、相場が大きく下げた時から積立投資をスタートしたのでは、回復相場が来ても、購入数量が少なくて、一気に買った人よりも儲けは少なくなります。


実は、積立投資の生み出す利益のほとんどは、そういう相場が安い局面で積み立てた分によるのです。

ズバリ言ってしまえば、積立投資でも大きく下げた局面で買っているかどうかで、積立投資の成否は大きく分かれてくるものであり、逆にあまり利益がでない高値では買わない方がいいと考えることもできるのです。


資産運用法は、自分で見つけなければいけない!

資産運用法に、絶対はない。

大切なのは、自分に合った運用方法を見つけなければいけないという事。


それは、『長期、分散、積立投資』であっても例外ではありません。

『長期、分散、積立投資』のデメリットは、先ほど説明した通り。

そのことに気づいたあなたは、それでも『長期、分散、積立投資』をしようと思いますか?


それでも、『長期、分散、積立投資』を続けると言える人は、『長期、分散、積立投資』という運用戦略が向ているのかもしれません。


実は、『長期、分散、積立投資』のデメリットを少なくするように運用するのは、難しいというのが世間での共通認識となっています。

でも、たまたまだったとしても、『集中投資』で大きく儲けした人が身近にいたらどうでしょう。

『集中投資』という投資戦略が気になるのではないでしょうか?


また、相場が大暴落して、あなたが数百万円の大きな損失を抱えているとき、長期投資を辞め『損切』もしくは『利食い』をして損失を抑えたり、利益を残したりした隣人がいたらどう思うでしょうか?

「自分もここで辞めておけば良かった」なんて考えてしまいませんか?


つまり、資産運用をする上での一番の問題点は、今自分が行っている運用法が正しいのかどうかを判断できる知識や経験がないために、不要な”疑問と不安を感じてしまう”ことにあるのです。


資産運用では、上手くいかない時というのが、最も重要な局面です。

実は、自分流の運用戦略を見つけた人は、この運用が上手くいかない期間と、上手に付き合うことができるのです。

上手くいかない期間と上手に付き合えるようになると、上手くいく期間をより効果的に活かすことができるようにもなります。


確かに、『長期、分散、積立投資』というのは、投資の原則に近い賢い方法なのかもしれません。

でも、上手くできればそれよりもいい方法があるのも確かだし、なにより実行できない事には意味がありません。


資産運用では、投資の原則や賢い運用法よりも、マーケットと上手く付き合うことを覚えることの方が、ずっと大切なことだと思います。

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