「貯蓄から投資へ」と言われて久しいですが、なかなかうまく言っていないようです。
国としても、NISAやiDeCoといった税制面からの投資のサポートを行っているようですが、それでもなかなか投資が上手く言っていないのは、投資に対する国民への教育が不足しているからなのではないでしょうか?
なぜ「貯蓄から投資へ」というスローガンが?
昔は、国としては、預金をしてもらいたかった。
端的に言えば、預金というのは、銀行を通じて、国にお金を貸す制度です。
まだ道路や橋、鉄道といった国としてのインフラが整備されていなかった時代には、そのインフラを作る公共工事を行うためのお金として、国は多額のお金を借りたかった。
だから、国民に預金を呼び掛けて、資金を集めていたというわけです。
ところが、今は昔ほど公共工事を必要としなくなってきました。
そのため、国民に預金をされても、そのお金の使い道が国になくなってきた。
余剰となったお金を借りて、利息を払おうと思わないのは当然なので、金利もどんどんさがってきました。
もう国にとって、国民に預金をしてもらう必要がなくなって、本来経済のガソリンとして動いてもらいたいお金が、動かなくなってしまった。
お金が動かなくなれば、経済が停滞してしまうのは当然です。
だから、自分たち(国)ではもう動かせないので、「国民自身でお金を動かしてね」ということで、国民に投資を呼びかけるようになったという事なのでしょう。
老後の不安で投資をする?
年金や国の財政、私たちの将来は不安なことだらけです。
と言っていますが、本当にそうなのか?
実際には、不安を煽ることで、投資をさせようという思いもないことはないでしょう。
一時期話題となった、『老後の2000万円問題』、あれこそまさにその最たる例です。
老後の不安を解消するために、「貯金ではなく投資をして財産を作ろう」といったスローガンをよく見かけますが、投資で老後が安心になるのか?
決してそんなことはないと思います。
逆に、投資をすることで、老後どころか1、2年後にも資産が減るのではないかという不安を感じるようになってしまいます。
「長期投資ならば、安全だ」なんてスローガンも見ますが、そもそも投資はリスクをとること(先のわからないものに賭けること)で、長期投資なら安全だなんて言いきれるものではないはずです。
過去の推移を見れば、長期投資は良かったのかもしれません。
だからといって、これからもそうだなんて信じてしまうのは、安易だと思います。
リスクを取るという事をわかっていない。
結局のところ、リスクを取るなら、それなりの知識と経験を積まなければできないのではないでしょうか?
リスクを取るうえで、一番危険なのが、「わかった気になる」ということだと思っています。
リスクというのは「わからないという事しかわかっていない」ということなのに、それをわかった気になってリスクを取る。
『潮が引いて初めて誰が裸で泳いでいたかが分かる』(バフェット)
という有名な言葉がありますが、さらに知識と経験の浅い人は、自分自身が裸で泳いでいるのかどうかさえもわかっていないのではないでしょうか?
そういう私も、分かっていないのかもしれませんが。
この「わかっていない」ということを「わかっている」という認識が投資にとっては大切なのだと考えています。
それなのに、投資というものの表面だけをすくったような知識で投資を勧めている。
それで、本当に「貯蓄から投資へ」が実現できるのだろうか?
根本からリスクと投資を学ぶことが「貯蓄から投資へ」を実現するために本当に必要な事なのではないかと思うのです。
22年からは、日本でも投資信託などを”学校”で教える取り組みが始まるようです。
しかし、「家庭科」という授業の中で行うというのが、まだまだ投資教育への本気度を感じないところです。
しかも、肝心の教える先生が投資をわかっていないという問題もあるようです。
投資を学ぶという事に、国としても前向きになってきたという動きは、いいことだと思いました。
ですが、まだ不十分なようです。
投資は、とても奥が深い分野で、尚且つ私たちの生活、時には人生にも大きな影響を与える話です。
貯蓄から投資へを実践するための勉強を
「勉強失くして投資はできない。」
といっても決して過言ではないと思っています。
勉強しないものが、簡単に儲かるほど投資の世界は甘くない。
投資というのは、人と同じことを、何も知らずにやっていると、みるみるお金を取られていきます。
「初心者にもできる」「なにも考えずに資産形成」なんてものは、危険なキャッチコピーです。
投資のリターンは、「考える」ことによって生まれる付加価値です。
なのに、勉強もせず、考えもせず、お金持ちになれるなんてことあるわけがありません。
『私の経験から言えることだが、いつも考え続け、本を読み続けていれば、働く必要はない。』(チャーリー・マンガー)
もし、勉強もせず、何も考えずに儲けることが出来るのだとしたら、その時は、みんなが金持ちです。
みんなが金持ちという事は、結局今の立ち位置からは、なにも変わっていないという事です。
「老後が不安だ」「お金持ちになりたい」とみんなが思っているような社会であれば、仮に投資で『みんなのお金が増えた』としても、みんな一斉に増えているので、結局みんなと同じ、「老後が不安だ」「お金持ちになりたい」という不満を抱えていることになってしまいます。
そうならないためには、結局『勉強して』人よりも上手く生きる術を身につけなれればならないのではないのではないかと思うのです。
だから、『投資をするなら勉強する』という事をお薦めしたいわけなのです。
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